幼い頃から、クリエイティブなものに心惹かれる人間でした。美術の成績は悪かったけれど、絵を描くことを止めることはなかった。大学時代には、イラストを描くヤツ、曲づくりをするヤツ、洋服をつくるヤツ、いろんなヤツが自然と集まったコミュニティで、仲間とつくるクリエイティブを楽しみました。就職も、何かを生み出す仕事がしたいと思い編集プロダクションへ。そこでは、学生時代の活動とはまた違ったクリエイティブの魅力があった。それは例えば、この商品を売りたい、この企画をPRしたいといった目的を達成するためのクリエイティブ。芸術家のように自分の中から湧き上がるようなものではなく、誰かが目指したいゴールへの道筋を一緒になって探していくという作業。クライアントからパートナーとして認められたときの気持ちよさを、そこで知りました。
その会社に2年ほど勤めた後、ある出版社からお誘いいただき転職。そこでは、自分のクリエイティブに対して、世の中は敏感に、そしてシビアに反応してくれるということを知りました。通販カタログなどをつくっていて、売上げという数値化された結果を見ることで、自己満足ではない達成感を得ることができたんです。そうやって、つくってつくって、つくりまくる時間を過ごしていました。ただその一方で、チームでものをつくっていく難しさも感じていて、精神的な疲れがたまっていたのかもしれません。あるとき、ふとその場から逃げ出したくなってしまったんです。
僕は、クリエイティブから離れました。しばらくは、日雇いのアルバイトで食いつなぐ生活。しかし、クリエイティブの神様は僕を見捨てなかったのか、ある職場にたどり着いたとき。学生時代に熱中していたコミュニティとそっくりな場に出会った。職場の同僚に、グラフィティを描く人たちがいたんです。僕は再び、絵を描くようになり、思い出した。クリエイティブの喜びを。そして、もう一度あの世界でやってみたい。今度やったら、もっと違う結果を出せるんじゃないか、そう感じたんです。
再就職先として出版社だけを探した。見つけたのがリクルートの編集職募集。メディアは、Webサイト。早くからPCを置いていた家に育ったので、抵抗もなし。もう迷いはありませんでした。AB-ROAD編集部での仕事は、Webサイトの中で、ユーザーが迷わず欲しい情報にたどり着ける導線をつくること。それはサイトの使いやすさの向上だけでなく、結果として、海外旅行の申し込みという形で、数千万・数億円という金額が動いていることにもつながります。世の中にはクリエイティブという言葉に対して、いろいろな捉え方をする人がいると思います。ただ僕の場合は、見てもらってナンボ。使ってもらってナンボ。自分の狙った通りの反応を出していくことに、醍醐味を感じています。3年後。ここを卒業したら、身に付けたWebの知見や人脈、そして自分のクリエイティブを組み合わせて、お金を生み出せるような何かをつくり出せたらと思っています。収益を生み出せるということはつまり、それだけ認めてくれる人がいるっていうことですから。
舌の肥えた3歳児でした。「いい服は着なくとも、飯だけはちゃんとしたものを食べろ」っていう家に生まれ、幼少の頃から、旬のものや無農薬野菜を食べていたんです。料理をつくることも好きで、中学に入る頃には、自分で出汁をひくように。高校卒業後の進路も、自然と料理人と決めていました。その前に、本物の味を知りたいと思い、高校を卒業してすぐ、バックパックを背負って世界食べ歩きの旅へ(旅行も好きだったし)。タイでトムヤムクン、中国で麻婆豆腐、イギリスでローストビーフ…と食べ歩いているうち、たまらなく恋しくなったのが、うどんの出汁。やっぱり日本人なんだな、と思うと同時に、和食の料理人になることを決意しました。
帰国してすぐ、割烹料理屋に就職。皿洗いに掃除、仕込みを手伝わせてもらう日々を送りながら、趣味と勉強を兼ねて食べ歩きをしていました。すると気づいたんです。グルメ雑誌やネット、テレビで紹介されるお店に、実は本物の味は少ないんじゃないか、と。それを信じてお店を探しても、うまい料理には出会えない。若い人たちの“舌”が育たなければ、その世代から優れた料理人は生まれないし、いい仕事をする店が淘汰されてしまうかもしれない。このままでは、日本の食文化がダメになる。大袈裟ではなく、僕はそう考えました。それが、目の前のお客様に喜んでもらう“つくる職人”から、より多くの人に影響を与えて食文化に貢献する“伝える職人”へ転身したきっかけです。
そして、編集者としての道を歩み始めた。じゃらん編集部。国内旅行への行動喚起のために、その土地その土地の食材や料理を紹介していくことができるこの仕事は自分にぴったりでした。各地の名産や旬の食材を探し出し、月に1度の編集会議に向けて企画を練る。会議で誌面の大枠が決まったら、記事の制作。ライター、カメラマンとともに、実際の観光地や料理店を訪れて、試食を兼ねた取材。帰社してからも、自分が体験してきたことが読者にしっかり伝わっているか、原稿をチェック。ハードな毎日は、ときに10軒もの試食をはしごすることがあっても太らないほど。でもキツイとは思わない。自分で確かめた味を、世の中に発信できているんだから。