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「徹底的にユーザーの声を聞く」スマートフォン時代の新しい日常接点のつくり方

Recruit , テクノロジー

文:榎並紀行 写真は左から 土岐、黒田、酒井

いまや15歳以上の日本人の2人に1人がスマートフォンを持つ時代。 特に若年層はスマートフォン所有率、接触時間ともに上昇傾向にあり(博報堂DYグループ・スマートデバイス・ビジネスセンター「全国スマートフォンユーザー1000人定期調査(第8回)」より)、もはやスマートフォンとそこにインストールされるアプリは見逃すことはできない生活者との重要なタッチポイントとなっている。

そんななか、2013年6月のリリース以来、右肩上がりで利用者を伸ばし、2014年10月現在までに310万ダウンロードを達成したスマホ用コラージュアプリがある。 『cameranコラージュ』だ。その仕掛け人は、リクルートグループの実証研究機関「メディアテクノロジーラボ(以下、MTL)」に所属する若き開発者たちである。

同アプリ以外にも、『cameran』(700万ダウンロード)、『おしゃれ天気』(150万ダウンロード)、『あさとけい』(140万ダウンロード) 『Recstyle』(130万ダウンロード)、『cameranアルバム』(60万ダウンロード)など、ヒットを量産するMTL。 今回は『cameranコラージュ』開発の経緯をたどりながら、プロダクトオーナー 酒井洋輔氏、ビジネスプロデューサー 土岐佳穂理氏、リードエンジニア 黒田樹氏の3人から 人気アプリを生み出す手法を探ってみた。

アプリを通じ、新しい日常接点の創出を目指す

――まず、3人が所属するMTLはどんな組織ですか?

土岐 MTLはリクルートグループの実証実験機関です。具体的には、新たなテクノロジーを活用して新規事業をつくる部署です。エンジニアやデザイナー、企画担当で構成され、現在は主にスマートフォン向けアプリの開発を行っています。

酒井 リクルートの『ホットペッパー』や『SUUMO』、『ゼクシィ』など既存事業の枠にとらわれずに、新たなユーザーとの日常接点を作っていくことがミッションのひとつとなっています。

――これまでにどれくらいのアプリを開発したのでしょうか?

黒田 MTLとしてはこれまで多くのアプリを開発してきましたが、現在20個くらいのプロジェクトが進行中です。各プロジェクトメンバーはみなグローバルスケールを目指して頑張っています。

――そのなかでも、写真をかわいくコラージュできる『cameranコラージュ』など、とくに若い女性をターゲットにしたアプリがヒットしています。アプリ開発においては、F1層(20歳~34歳の女性)をコアターゲットに据えているのでしょうか?

酒井 MTLとしては男女問わずさまざまな課題や問題に対して、解決策となるアプリをつくっていますが、『cameranコラージュ』についてはF1層をコアターゲットとして捉えています。

土岐 スマートフォンユーザーの年代別・男女別の構成比でみると、女性の若年層はスマートフォン所有率、接触時間ともに高い数値になっていて、親和性が非常に高いと感じています(博報堂DYパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査(東京)」より)。普段、肌身離さず持っているスマートフォンに入るアプリはF1層にリーチする上でもとても重要だと思います。

多くのF1層に支持されるアプリのつくり方とは?

――アプリという手段の重要性や有効性を認識している人は多いと思いますが、世の中にこれだけ多様なアプリがあるなかで、競合と差別化し、ターゲットにささるものを生み出すのは簡単ではないと思います。そんななかで2013年6月にリリースされた『cameranコラージュ』は累計310万ダウンロードと好調です。なぜ、写真加工アプリの提供をはじめたのですか。

酒井 すでにコラージュ領域では、世界で数千万ダウンロードされているものもあり、大きな市場が顕在化していました。同時に優れた機能を持ったコラージュアプリもたくさんありました。また、先のことを考えると、端末そのものにコラージュ機能が実装される可能性もあると考えていました。

――難しい状況を知った上でのリリースだったのですね。そこでの勝ち筋とは?

酒井 自分たちが得意とする方法、自分たちにしか出せない価値で勝負すべきと考えていました。自分たちしか持っていなくて、そしてこの先も継続していけるような、優位性は何かとみんなで考え、「Kawaii」に代表される日本ならではのセンスを持っていることじゃないか、という結論に至りました。
そして、ベースとしてのコラージュ機能に、日本ならではの「Kawaii」や「オシャレ」といった文化的な価値を載せれば、提供する価値を「機能」ではなく、私たちだけの持続出来る競争優位にできるんじゃないかという仮説を立てました。
その仮説を元に実際に、写真加工アプリを利用している方々にインタビューを行ったところ、やはり「コラージュ素材のクオリティーに満足していない」「全体のトーンが可愛くない」といった声が多く聞かれ、仮説が確信に変わりました。

――「日本ならではのセンス」や「文化的な価値」をコラージュ機能に載せる、というのはどのように実現したのですか?

黒田 センスや文化を発信されている、ファッション誌やブランドの方々とコラボすることで実現していこうと考えました。グローバルで支持される文化の担い手が近くにいるのも、日本だけの強みなのでそれを活かすべきだと考えました。

――出版社やブランドとのコラボの実現は難しくなかったでしょうか?

酒井 大変でした。1社ずつお声掛けをして訪問するところからスタートし、一から信頼関係を構築していきました。コラボが決まってからも「ユーザーが使いたいコラージュ素材」と、「コラボ先が実現したいコラージュ素材」のバランスをとっていくのが、非常に難しかったです。
ただ長期間お話しをしていく中で、コラボ先の企業の方々の課題感に触れる機会も増え、それが今の商品開発に活かされているので時間をかけて丁寧に回らせてもらって、よかったと思っています。
最終的には、サービスのローンチ時点では2雑誌2ブランドに参画いただくことになり、現在では4雑誌10ブランドに拡大し、新しいコラージュ素材も続々と増えています。

――「作ってリリースして終わり」では済まないのもアプリの課題ですよね? 『cameranコラージュ』でも素材の充実を含め、リリース後も継続して改良が加えられていますが、ユーザーを惹きつけ続けるためにどんな工夫をされているのでしょう?

黒田 ユーザーへの調査やグループインタビューなども定期的に行っていて、ブラッシュアップに役立てています。たとえば、新しいアイコンひとつ決めるにも30個くらいアイデアを出して、ユーザー層の女性に意見を聞きながら詰めていきます。課題に対して打ち手の仮説を立て、それをターゲットユーザーに常に確認しにいくという繰り返しですね。このプロセスは、どのアプリ開発においても変わりません。
また、アプリ自体の品質にも徹底的にこだわっています。リリース前は、大体10枚くらいの写真がコラージュ出来れば問題ないだろうと想定していました。しかしながら、実際には、100枚近い写真をコラージュしているユーザーがいました。写真が増えるとその分アプリが必要とするメモリも増えるので、どうしてもクラッシュしやすくなってしまいます。そこで、ユーザーの使い方に合わせてアーキテクチャーやデータ構造の見直しも行いました。ビジネスアイデアと同じで実際に使われてみないと分からないことがあり、設計の難しさを改めて感じています。

ユーザー満足度を追求しつつ、マネタイズの取り組みも

――そうした取り組みの結果は、右肩上がりのダウンロード数にも現れていますね。

黒田 ただ、ダウンロード数に一喜一憂してもあまり意味がないと思っています。たとえ100万ダウンロードされたとしても、そのうち99万人がすでに使うのをやめてしまっていたら意味がないですから。我々としては、もっと意味のある指標をモニタリングする必要があると考えています。たとえば『cameranコラージュ』でいうと、「コラージュ作成数」。これは実際にユーザーが素材をダウンロードして使ってくれた結果を示す数値なので、「コラージュ作成数」が増えればユーザーに支持されている証といえます。

酒井 2014年の上期は、このコラージュ作成数を増やすことに注力してきました。具体的には機能追加ではなく、使い心地の改善を行いました。結果として、10月時点のコラージュ作成数は半年前の1.5倍にあたる200万枚に、1人あたりの作成数も月2枚から3.9枚に増えました。雑誌・ブランドの編集ページが使用された回数は、月間400万回を超えています。
実際にプロダクトの改善を行うインタビューのなかでは、面白いお話も出てきています。
定性的にはなるのですが、『cameranコラージュ』を利用した事によって、ブランドに興味をもって店頭で手に取るきっかけになったというお話がありました。
また、ある女性ユーザーの方からは、あまり興味のなかった「甘め」のデザインがコラージュを行っていく中で好きになってきましたという感想も頂いています。現在は、さらに満足度の高いアプリにできるように改善を続けつつ、商品化(マネタイズ)にも取り組み始めたところです。

――マネタイズの手段は広告ですか?

土岐 はい。現段階では広告に注力しています。『cameranコラージュ』のユーザーは18~34歳の女性が9割を占め、"かわいさ"や"おしゃれさ"に敏感な方々が集まっています。そうしたターゲットにピンポイントで広告を出したい企業様からは良い反応をいただいていて、実際に何件か受注しています。

――ただのバナー広告ではなく、見せ方も工夫しているとか。

土岐 はい。ユーザーにとっても、クライアントにとってもメリットのある広告の見せ方を工夫しています。ユーザー視点としては、スマホは画面サイズが小さいので、広告があることで使いづらくならないよう配慮する必要があります。また、ユーザーにとって自然に楽しめるような、コンテンツとして成立する広告が理想だと考えています。
コンテンツ化する広告=「ネイティブアド」は、ユーザーにとってもクライアントにとってもメリットとなる広告の見せ方と言えると思います。どのような見せ方やコンテンツにするかは、クライアント様1社1社と直接話し合いながら、一緒に作らせていただいています。「今度こんなキャンペーンをやるから、この素材とこのランディングページを使ってこんなこと出来ないかな?」などと、クライアント様からご相談いただくことがとても嬉しいです。

――最後に、ヒットするアプリを作るためのポイントを総括していただけますか。

酒井 やはり徹底的にユーザーの声を直接聞くことが重要だと考えています。自分が考えていた価値が実は価値ではなかったり、逆に些細な内容だと考えていた部分に需要があったり。今まで多くのユーザーの方とお話させていただきましたが、20人を超えたあたりから、相手が話す前にどんなことを言われるのかわかるようになってきました。データからの判断ももちろん必要ですが、継続してユーザーの評価を組み込むことが大切だと感じています。その継続が、ユーザーニーズを満たすアプリ開発に繋がると思います。

プロフィール/敬称略・名称順

酒井 洋輔

モバイルコンテンツ企業で企画職として従事した後、2012年5月、株式会社リクルート入社。ニジボックス出向を経て、メディアテクノロジーラボへ。ファッション誌やブランドの世界観でコラージュできる写真編集アプリ『cameranコラージュ』を立ち上げる。これまで開発に携わったアプリは『ぺとりごと』、『SeeSaw』(プランナー)、『cameran』(アライアンス)、 『cameranコラージュ』(プロダクトオーナー)

黒田 樹

SIerにて官公庁系の大規模システムにアーキテクトとして従事した後、2011年8月、株式会社リクルート入社、メディアテクノロジーラボへ配属される。これまで開発に関わったアプリは、絵文字コミュニケーションアプリ『HappyBalloon』(エンジニア)、音楽SNS『Attacca』(プロダクトオーナー&エンジニア)、『cameran』『cameranコラージュ』(技術責任者)

土岐 佳穂理

リクルート住まいカンパニーで2年間営業を経験後、社内新規事業コンテスト受賞をきっかけに、2013年にメディアテクノロジーラボヘ異動。これまで開発に携わったアプリは、カップルアプリ『sweetie』(プロダクトオーナー)、『cameranコラージュ』(事業・商品企画、ビジネスプロデューサー)『おしゃれ天気』(事業・商品企画、ビジネスプロデューサー)、『あさとけい』(事業・商品企画、ビジネスプロデューサー)

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