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SPECIAL TALK SESSION

【前編】対談:伊達みきお×大久保幸夫 - 生き方・楽しみ方・働き方

ビジネススキル , マネジメント , 人材育成 , 働き方 , 地方創生
対談:伊達みきお×大久保幸夫

文:ミトミアキオ 写真:依田純子(写真は左から伊達氏、大久保)

サンドウィッチマン・伊達みきお氏とリクルートワークス研究所長・大久保幸夫による特別対談。「地元と東京での働き方」「自分の強み」「コミュニケーション」の3篇をお送りする。

かたや幅広い世代からの人気を集めるお笑いのプロ、かたや日本全国を飛び回る人材開発のプロ。まったく畑違いのようでいて、素顔は面白さに命をかける男と熱烈なファンという関係でもある。そんな二人の対談第1回目のテーマは「地元と東京での働き方」だ。

大久保幸夫(以下、大久保) よろしくお願いします。リクルートホールディングスのコーポレートサイトで対談シリーズを始めました。1回目はITやグローバルな世界の話だったので、それに対抗して「ローカル」ということで。

伊達みきお(以下、伊達) いや、ITには対抗できないでしょう(笑)。

大久保 伊達さんに以前インタビューさせていただいたときに地元・宮城県の話を興味深くうかがいましたが、地方の活性化に関してはリクルートでも事業をやり続けてきたんです。90年代に私が「地域活性事業」を立ち上げて、町おこしとかやってきて。それが勢い余って、自分も東京から引っ越して今、熱海の山奥に住んでいます。標高450mぐらいの何もないところに住んでいて、新幹線で東京に通勤。もう20年間ぐらいその生活を続けているんです。東京には東京の、仕事の面での良さがあるんですけど、転勤で暮らした福岡や名古屋の町の良さもあって、やっぱり両方の良さを知ってるというのはなかなか楽しいなと思っています。

伊達 それは理想の生活ですね、熱海から通うなんて最高です。

大久保 伊達さんは今、東京の仕事や、家族との時間をつくるためにも東京に住んでるんですよね?

伊達 そうなってしまってますね。

大久保 聞いたところによると、お嬢さんを溺愛してるらしいじゃないですか(笑)。

伊達 溺愛も溺愛です、本当に。もうすぐ3歳になります。

大久保 一番かわいいときですね。一緒にいる時間が大事ですね。

伊達 そうですね、できるだけ一緒にいたいなと思ってますけど。

「一都三県で働く人の3割近くが、Uターン就職を望んでいる」

大久保 ぼくらも東京をはじめ全国でいろいろ仕事を紹介したりする事業をやっているので、それに関連して調査しているんですけど、東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県に住んで働いている人のうち、ここが地元じゃないという人の28%はいずれUターンして地元で仕事をしたいと思ってるんです。

伊達 28%ですか?

大久保 すごく多いと思いませんか。東京に出てきて、いずれ地元に帰りたいと思う人たちが多いということです。

伊達 ぼくはもうちょっと多いかと思いました。やっぱり地元から出てくると、東京は働く場であって住む場所じゃないと思いますね。でもなかなかそう簡単にはいかない。

大久保 でも実際には、東京から地元に帰ってまたそこで働く人って、実はすごく少ないんです。理想かもしれないけど、なかなか実現は難しい。

伊達 そうなんですね。それを望んでいる人も、3割以上はいるのではないかと思っていました。

大久保 だからなんとかして、そう思ってる人の希望をかなえたいなと思っています。それから「Iターン」といって、東京周辺で生まれ育ったけど地方で生活したいと思ってる人たちも後押しする仕事を、自分も90年代にやっていたんです。累計で3~5万人ぐらいの人が東京から地方に転職しました。中には過疎の村もあるんですけど、村じゅうの会社に東京から人採りませんかって声かけて求人を集めて、社長さんたちを村長さんと一緒に東京に連れて来て、転職希望者と面談してもらった。それで過疎の村の人口が増えたりしたんです。

伊達 それは面白い活動ですね。

大久保 自分自身もあちこち転勤して仕事したこともあって、東京と地方との関係の中で自分の仕事のキャリアを考えたり、生活を考えたりしていくことに、昔からすごく興味があったんです。ただそういう中でも伊達さんのようなパターンは特殊だなと思っていて。東京を離れてUターンするのとも違いますし......。ワークスでの取材の時も、東京の仕事と地元の仕事がぶつかったときに、地元の仕事のほうが気になるっておっしゃってましたよね。それはデビューしてからずっとそういう感じなんですか?

「仙台でやりたいことは、今がちょうどいい塩梅なんです」

伊達 それが夢でしたね。やっぱり仙台が好きなんです。売れるようになって、新幹線代を出してもらって仕事で仙台に行くというのが目標でしたから。要するに自分のお金で行くんじゃなくて、東京に住んでるぼくらを仙台に呼んでいただいて、仕事をするというのが。

大久保 最初から地元タレントを目指して活躍するパターンも最近はあるじゃないですか。ああいうパターンはあんまり考えられなかったんですか?

伊達 それがあんまり仙台には、地元に根付いたタレントさんがいないんです。お笑いの劇場もなかったぐらいですから、ぼくらが住んでいたころは、ほとんどいなかったですね。

大久保 お笑い系のローカルタレントはあまりいないんですか?

伊達 今はやっと出てきた感じですね。ぼくらが住んでたころは一度東京に出て、戻ってきてという人たちはいましたけど。

大久保 でもNHKや全国ネットの番組に出ていれば、地元の人も見てくれる。これまでは多くの人がそれを目標にしてきたけれど、サンドウィッチマンの場合は両方を兼ねている感じですね。東京に住んでいて、あえてローカル局でもレギュラー番組を持ってるじゃないですか。中にはノーギャラで。

伊達 『サンドウィッチマンのラジオやらせろ!』のことですね。あの番組をオンエアしているfmいずみは、仙台市泉区でしか聞けないコミュニティラジオなんです。ぼくも相方の富澤も泉区出身なので、地元のラジオでしゃべりたいと思って自分たちから行ったんです。「30分だけ時間いただけないでしょうか」と。そうしたら「ああ、いいですよ」って。そのまま今もやってます。今はコミュニティラジオのネットワークができて、東北6県ほとんどの地域で聞けますよ。

大久保 では泉区のネタだけをやってるわけじゃないんですね?

伊達 最初はずっと泉区の話をしていましたが(笑)。

大久保 仙台でやりたいことは、その先に何があるんですか?

伊達 今はちょうどいい塩梅なんです。仙台のお祭りやテレビ局のお祭りでも司会をやらせていただいたり、ラジオ番組もすごく知名度が上がってきましたし、今が一番いい気がします。この先考えなきゃいけないですけど、今はすごく充実してますね。

「あ、南三陸にすごいおいしいマドレーヌがあるんです!」

大久保 前に、地元にお笑いのライブができるような環境をつくっていきたいということもおっしゃってましたよね。

伊達 それはあるんですけど、仙台に「お笑い集団ティーライズ」というグループがいまして、その子たちがすごく頑張ってるので、あんまり邪魔はしないほうがいいのかなって今は思ってます。

大久保 今は見守っていると。

伊達 一生懸命お客さん呼んだりして、劇場はないんですけどライブ会場でやってたりしてるので、何かお手伝いできればいいかなと思います。

大久保 そういう地域で頑張ってる人たちと絡んだりというのも、よくやってらっしゃいますよね。

伊達 いろいろと考えてはいますけどね。

大久保 リクルートの人間も東北にはずいぶん行ってますよ。個人的に行っている者もいれば、地域に出向してそこで仕事をしている者も。あとは集団ボランティアでバスに乗って行ったり。

伊達 今もたくさん来てくれてますよね。

大久保 このリクルートが入っているビルの中でも「買う支援」をコンセプトに東北物産展を開催したり。

伊達 あ、南三陸にすごいおいしいマドレーヌがあるんです!

大久保 マドレーヌですか?

伊達 日本一うまいです。「お山のマドレーヌ」っていうんですけど、つくっている人が面白くて。奥さんと一緒に南三陸町にある工房で作っていらっしゃるんですが、うまいんです、それが。

大久保 伊達さんは無類のカステラ好きだと聞きました。

伊達 カステラとかマドレーヌとか大好きですね。夜中に牛乳と一緒にね。

大久保 伊達さんはお酒を飲まないから、そうなるんですね(笑)。。

伊達 でも東北には本当に、おいしいものがいっぱいありますね。

大久保 さっき話した東北物産展も、地元商店の方々や都内の東北アンテナショップの方にオフィスにお越しいただいて、東北の特産品を販売していただきました。ものすごくたくさんの従業員が足を運んで大盛況だったんですよ。

【キャリア的副音声】

伊達さんは仙台と東京、私は熱海と東京という2つの場所を持っている。このことをキャリアの視点から考えてみたい。

第1に、どこに住むかということはアイデンティティと密接に関係しているということ。実際、伊達さんの心の中には仙台という軸があり、そのことが仕事観を大きく左右している。私も熱海山中に住むようになって、地域の活性化という仕事に興味を持つようになった。

第2は、地方から客観的に東京を見つめるということによる視野の広がりである。たとえば地方に転勤したときに、離れたところから全社の動きを眺めていると、何が大切かということが俯瞰的に見えてくることがある。複数の地域で仕事をした経験が役立つのである。

第3は、一種の転地効果。都心とはまったく環境が異なる家に帰ることでリフレッシュできる。画家の葛飾北斎は生涯に93回引っ越しをしたという。引っ越しによって仕事をリフレッシュし、新たな画法に取り組んだのだ。キャリアの転機を意図的に作りたいときに、住み替えが役立つことがある。

(大久保幸夫)

中編に続く

対談:伊達みきお×大久保幸夫 - 生き方・楽しみ方・働き方

  1. 前編
  2. 中編
  3. 後編

プロフィール/敬称略

伊達みきお

サンドウィッチマン

1974年生まれ。宮城県仙台市出身。高校時代にラグビー部に入部し、後にコンビを結成する富澤たけし氏と出会う。高校卒業後、父の紹介で介護用品の会社に営業職として入社。4年勤務した後に会社を退職し、富澤氏と上京。「サンドウィッチマン」を結成。アルバイトをしながらライブに出続ける。日本テレビの人気お笑い番組「エンタの神様」で地上波テレビ初出演。その後、吉本興業主催の新人漫才コンテスト「M-1グランプリ」で優勝。「東北魂」と銘打った義援活動やチャリティライブの開催など、東北出身の芸人の中心となって被災地の支援を続けている。

大久保幸夫

リクルートワークス研究所所長

1983年一橋大学経済学部卒業。同年株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)入社。人材総合サービス事業部企画室長、地域活性事業部長などを経て1999年にリクルートワークス研究所を立ち上げ、所長に就任。2010年~2012年内閣府参与を兼任(菅内閣、野田内閣)。2011年専門役員就任。2012年人材サービス産業協議会理事就任。専門は、人材マネジメント、労働政策、キャリア論。

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