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SPECIAL INTERVIEW

【前編】対談:白木夏子×筧裕介が語る、社会課題を解決するためやるべきこと

イノベーション , グローバル , サステナビリティ , ビジネススキル , リーダーシップ , 事業立案 , 働き方 , 地域活性 , 多様性 , 子育て , 新規事業 , 起業
SPECIAL INTERVIEW

文:鈴木貴視 写真:依田純子(写真は左から花形、筧氏、白木氏)

ビジネスや慈善活動を通じて企業や個々人がやるべきこととは? HASUNAの白木氏とissue+designの筧氏に迫る。

世の中で問題視されている社会課題を解決するため、ビジネスや慈善活動など通じて、企業や個々人がやるべきことは何か? 今回の対談では、産地・採掘の工程や紛争や児童労働とは無縁で環境に配慮したジュエリーを展開するHASUNAの白木夏子さんと、日本の未来を担うソーシャルデザインを手がける筧裕介さんが登場。1回目は、リクルートホールディングスでソーシャルエンタープライズ、CSR、ダイバーシティの推進を担当する花形照美が、おふたりの今の至った原点に迫る。

花形照美(以下・花形) まずは、今現在の活動やビジネスに繋がるような出来事やきっかけからお聞きできればと思っています。

白木夏子(以下・白木) 私は鹿児島県で生まれ、20歳まで繊維業が盛んな愛知県の一宮市で暮らしました。父親も繊維関連の仕事、母親はデザイナーでした。自分もアパレルや芸術関係の仕事に就きたかったのですが、両親に猛反対され海外大学受験のため短大へと進学。そこで講演のために来られた、世界の貧困問題や環境破壊をテーマに活動されているフォトジャーナリストの桃井和馬さんの写真を見て大きな衝撃を受けたんです。自分は今まで何をして生きてきたんだろう......と。その時、自分の人生も世界で傷ついた子供や環境のために費やさなければいけないと思いました。

花形 その後、イギリスへ留学し国際協力の開発学を勉強されたそうですが。

白木 はい。夏休みには、南インドのチェンナイの被差別部落で2ヶ月間住み込みました。最も印象的だったのは、鉱山労働者の方々。大人だけじゃなく子供も裸足で鉱山を掘り、食事も一日一食だけ。希望も笑顔もない光景でしたが、彼らが採取している鉱物は、私たちが日常で使うパソコンやカメラなどの原材料だったんです。その実情を目の当たりにして、世の中にとって便利で豊かで美しくあるはずのものが、なぜこれほど過酷な環境から生まれ正当な対価が行き渡っていかないのか? という大きな疑問が生まれました。

過酷な児童労働や9.11のテロに映った、
社会における自分の意義

筧裕介(以下・筧) 私は大学卒業後に、広告や空間などの商業デザインに携わっていました。仕事自体は楽しかったのですが、2001年の9月11日にニューヨークで起こったアメリカ同時多発テロでの経験が、今の活動に繋がるきっかけになったんです。実はその日、某企業のCI(コーポレート・アイデンティティ)を作る仕事で打ち合わせの為にニューヨーク現地に赴いていたのですが、散歩をしていると1機目の飛行機が頭上を通過してワールドトレードセンターに突っ込んでいった。すぐに日本へ連絡したのですが誰も信じてくれず、そうこうしている間に2機目が激突したんです。

白木 実は私もその日アメリカに向かっていて、カナダの上空を飛んでいるときにテロが起こり入国できないまま帰国したんです。

 そうだったんですね。僕も一週間後にようやく帰国できたんですが、その時に自分の将来について考えたんです。仕事は楽しかったものの、自分ではなく他の人でも成立する領域であった。だから、自分にしかできないことが他にあるのではないか、と。そこで、作っては消えてゆく一過性のデザインではなく、都市や環境や地域に関係する有機的なデザインを学びたいと思い、帰国後にRCAST(東京大学 先端科学技術研究センター)の都市工学の博士課程に入り直したんです。

花形 それぞれ強烈な原体験があり、それが今の仕事へと繋がったわけですね。

白木 はい。私自身、貧困や差別を解決するためには、既存のビジネスの在り方を変えなければいけないと思いました。買い叩きを繰り返すような、いき過ぎた資本主義を根本から変えなければならない。そのために、まずはビジネスを知らねばと約3年間投資ファンドで働き2009年に起業したんです。

 私は研究を続けながら、実践的に社会で試みるプロジェクトを軸としたissue+design projectを2008年に設立しました。最初のテーマは、阪神・淡路大震災。当時は震災から10年以上が経ち、被災時の教訓が薄れつつあったんです。そこでもう一度、都市直下の地震が起きたときに、デザインやクリエイティブがどんな風に役立つのかを実験的にやってみようと。それ以降は震災だけでなく、育児、教育、まちづくりなど、様々な分野に携わってきました。

大人の倫理ではなく、子供っぽさが社会を変える

花形 社会貢献に携わるきっかけは人それぞれですが、実際に行動へ移したり、それまでの自分の生き方を変えるまでには至らない人がほとんどだと思います。しかし、なぜおふたりはそれが実現できたのでしょうか?

白木 私自身、なんでも実際に経験してみないと納得できない、テコでも動かない頑固な性格が起因していると思います。途上国の貧困問題にしても、現地に行かなければなにも理解できていなかった。とにかく、自分がやってみないと納得しない、その繰り返しで進んできたのかなと思います。

 私に関しても、考える時間ばかり使って何もやらないよりは、まずはやってみるということが大事だと思っているんです。実際、社会の問題を解決しよう! なんて大それた考えで行動したわけではない。今のプロジェクトも、まずは今この時にできることからやってみる、というところから始めましたから。

白木 思い込む力も大事だと思うんです。ある意味、物語のヒーローやヒロインになってしまうような子供っぽさを持っていること。自分の思い込みを周囲の人たちに協力してもらいながら実現していく。それは、起業家にとっても必要なことですから。

 確かに、子供っぽさというのは非常に大切ですよね。

白木 ドイツの詩人、フリードリヒ・フォン・シラーが残した「迷い、夢見ることをはばかるな。高い志向はしばしば子供じみた遊びの中にあるのだ」という言葉が大好きなんです。その言葉どおり、子供じみた遊びの中に実は凄いアイデアがあったりするものですよね。遊びに夢中になることは、人間にとって本能的なことでもありますから。

 社会や企業や組織というのは、正しいのか間違っているのかということを、大人の論理で押し付けてきますよね。日本の大企業が上手くいっていない理由は、間違いなくそういう部分もあると思います。だからこそ、子供の論理で選択したり行動することを、どうやってやり続けていくかが大切だったりもして。そういったことを受容できる社会や企業がもっと増えていくと、素晴らしい人材も育って新しいアイデアも生まれていくと思います。

3/24の更新と記載しておりましたが、更新時期がずれました事をお詫びいたします。
第2回は、6/2更新予定です。

対談:白木夏子×筧裕介が語る、社会課題を解決するためやるべきこと

  1. 前編
  2. 中編
  3. 後編

プロフィール/敬称略・名称順

白木夏子

株式会社HASUNA 代表取締役

1981年鹿児島県生まれ、愛知県育ち。南山短期大学を卒業後、イギリス・ロンドン大学キングスカレッジへ留学。卒業後、国連インターンを経験、2006年に帰国し、投資ファンド事業会社勤務を経て、2009年4月にHASUNAを設立。現在代表取締役兼チーフデザイナー。著書に『女(じぶん)を磨く 言葉の魔法』『自分のために生きる勇気』『世界と、いっしょに輝く』がある。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門受賞。

筧裕介

issue+design 代表

1975年生まれ。一橋大学社会学部卒業。東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)。2008年ソーシャルデザインプロジェクトissue+design 設立。代表プロジェクトに震災支援の「できますゼッケン」、現代育児の課題解決のための「親子健康手帳」、人との出会いを楽しむ「Community Travel Guide」他。著書に『ソーシャルデザイン実践ガイド』など。グッドデザイン・フロンティアデザイン賞(2010)、日本計画行政学会・学会奨励賞(2011)、竹尾デザイン賞(2011)、Biennale Internationale DesignSaint-Etienne (2013, 仏)、Shenzhen DesignAward (2014,中国) 他受賞。

花形照美

株式会社リクルートホールディングス ソーシャルエンタープライズ推進室 室長

新卒で株式会社リクルートに入社。求人広告営業を経験後、現住宅情報事業部門に異動。マーケティング、営業企画、人事等を多くの職種を経験。2009年に全社事業開発室に異動。新事業・新組織立ち上げも含めた統括業務を経験。2011年よりコーポレート人事・CSRを担当。2013年4月より現部署にてリクルートグループのCSRとダイバーシティの推進を担当。

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