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SPECIAL INTERVIEW

【後編】対談:白木夏子×筧裕介が語る、ビジネスと社会貢献、両立のヒント

イノベーション , グローバル , サステナビリティ , ビジネススキル , リーダーシップ , 事業立案 , 働き方 , 地域活性 , 多様性 , 子育て , 新規事業 , 起業
SPECIAL INTERVIEW

文:鈴木貴視 写真:依田純子(写真は左から花形、筧氏、白木氏)

ビジネスや慈善活動を通じて企業や個々人がやるべきこととは? HASUNAの白木氏とissue+designの筧氏に迫る。

花形照美(以下・花形) 貧困層の労働問題や環境問題に向き合いながら展開されるジュエリーブランドHASUNAの白木夏子さんと、地方から日本の未来を変えるソーシャルデザインを手がける筧裕介さんによる対談も最終回。リクルートホールディングスでソーシャルエンタープライズ、CSR、ダイバーシティの推進を担当する花形照美が、複雑に入り組んだ社会問題を解決するために必要なヒントを聞き出す。

白木夏子(以下・白木) 企業の社会貢献の中には、本業とは全く関係のないものもありますよね。もちろん素晴らしいことですが、やはり事業そのものが社会貢献に繋がっているほうが自然だと思います。社会貢献は、寄付や慈善活動だけではありませんよね。長時間労働や産休・育休の問題など、まずそれらを真剣に取り組むだけでも大きな貢献になる上に、企業のイメージアップにも繋がると思います。

花形 大きな企業・組織は様々な問題を抱えています。例えば、ダイバーシティに関しても、仕事で結果を出してきた方々が地方も含めたソーシャルな活動に対しても今までのキャリアを発揮してもらえたら、それだけでもサステイナブルな企業や社会を目指すことにつながりますよね。

筧裕介(以下・筧) その通りですね。上の世代の労働環境が硬直することで若い世代が働きづらくなっていて、自分で新しいものを生み出そうとしてもできない状況が続いています。

白木 イノベーションというのは、異質な文化の中から生まれるものでもありますよね。例えば、必ず定時に仕事を終える日を設けて、社外の人と交流する機会を作ることで変化が生まれやすくなるとも思います。

 それなのに、外部と交流を計ろうとするとコンプライアンスが働く。そんな風に新しいものが生まれるはずもない環境が、ほとんどの大企業における今の実情です。おそらく、多くの企業は変えられないと思うので、中小企業が新しい働き方と私生活の両立を提示していくことのほうが現実的。それら企業がイノベーションを生み出すような先行ケースを世の中に出していくことで、大企業も後から着いてくるはずですから。

小さな場所で生まれた新しい価値が、
大きなイノベーションとなる

花形 働き方のフレキシビリティは、中小企業のほうが進んでいますよね。その中で、大企業は大企業ならではのプラットフォームを通じて、若い世代に選択肢を提供していく必要性があると思うのですが。

 私が地方で仕事している理由は、まさに同じです。国や首都圏を変えることは、もの凄く労力が掛かります。しかし、人口1万人の地域に変化をもたらすのであれば、町長さんと教育委員会が首を縦に振れば翌年から変えられる。そこで変化が生まれると、文科省で5〜10年後に反映されていく。大企業とベンチャーも、おそらくそれに似たような関係性だと思います。イノベーションは小さなところから生まれませんし、それを意識してもらえるような仕組みを作らなければいけないですよね。

花形 白木さんは『日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門』を受賞され、いわば女性のロールモデルのひとりでもありますよね。女性の働き方について、どうお考えでしょうか?

白木 会社経営をすることや組織の中で働くことは、男性的な思考がかなり影響しているなと感じます。そういった現実の中で、やはり子育てしながら働くことが当たり前だという世の中になってほしいと思うんです。仕事は人間性が出るので、自分を磨いてくれる存在でもある。ですから、より多くの女性たちが恐れずに、人間を磨くために前向きな気持ちで仕事に取り組める社会になることを願っています。60歳を超えても、現役で働いている女性って素敵だと思いますから。

知らない世界を伝えることが
社会貢献へと繋がっていく

花形 今回の対談を通じて、白木さんも筧さんも非常に広い視野をお持ちだと感じました。最後に、それぞれのビジネスや社会貢献について、将来的に実現したいことやビジョンをお聞かせください。

白木 ジュエリーの素材となる鉱石は、何億年も昔から地球に存在していた尊いもので、多くが遠い国の人里離れた山奥の鉱山で採取されています。そういった場所で営まれているシンプルな暮らしや季節の移ろい、人間や自然本来の美しく力強い姿を、ビジネスを通じて伝えていけたらと思っています。そして大きくこの会社を育て、世界から愛されるジュエリーブランドにしてゆきたい。世界じゅうの人がHASUNAに触れることで、豊かな気持ちになったり浄化されたような気持ちになったり・・・そんなブランドになれたら理想だなと思います。

 僕自身は、最近よく耳にする「地方創生」という言葉に危機感を抱いています。地方自治体は、今後20〜30年後の未来像をしっかり掲げて手を打たなければ、人口現象も含めて深刻な問題に陥ってしまう。現在、1800個くらいの自治体がありますが、ここ5〜10年の間で10〜20個くらいの新しい成功モデルが出たら希望は広がります。

花形 今後のヒントになればと、可能であれば現在進行しているプロジェクトを教えていただけたらと思います。

 昨年から、高知県佐川町のみなさんと話し合い、新しい産業を生むプロジェクトを進めています。自分の畑を自分で耕す農業の仕組みと同じように、自分の山に入り必要な分だけ木を切る自伐型林業を柱として、新たなビジネスについても議論を重ねています。そのひとつが『佐川ものづくり大学』です。小中学校の教育から、木工、デザイン、プログラミングなどを教育に組み込み、地元の木で新しい商品を作っていく。最近では、勉強したくなる机「WRITEMORE(ライトモア)」を開発しましたが、これは風鈴の音を聞くと涼しく感じるように、自分が書いた文字や絵の音を聞くことで集中できるという仕組みを用いて作ったものです。佐川町に限らず、各地域の資源と国の資源を掛け合わせて出てくる新しいものが、日本全体の将来を担うもののひとつとなる。私自身も、その一部として携わっていきたいと思っています。

対談:白木夏子×筧裕介が語る、ビジネスと社会貢献、両立のヒント

  1. 前編
  2. 中編
  3. 後編

プロフィール/敬称略・名称順

白木夏子

株式会社HASUNA 代表取締役

1981年鹿児島県生まれ、愛知県育ち。南山短期大学を卒業後、イギリス・ロンドン大学キングスカレッジへ留学。卒業後、国連インターンを経験、2006年に帰国し、投資ファンド事業会社勤務を経て、2009年4月にHASUNAを設立。現在代表取締役兼チーフデザイナー。著書に『女(じぶん)を磨く 言葉の魔法』『自分のために生きる勇気』『世界と、いっしょに輝く』がある。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門受賞。

筧裕介

issue+design 代表

1975年生まれ。一橋大学社会学部卒業。東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)。2008年ソーシャルデザインプロジェクトissue+design 設立。代表プロジェクトに震災支援の「できますゼッケン」、現代育児の課題解決のための「親子健康手帳」、人との出会いを楽しむ「Community Travel Guide」他。著書に『ソーシャルデザイン実践ガイド』など。グッドデザイン・フロンティアデザイン賞(2010)、日本計画行政学会・学会奨励賞(2011)、竹尾デザイン賞(2011)、Biennale Internationale DesignSaint-Etienne (2013, 仏)、Shenzhen DesignAward (2014,中国) 他受賞。

花形照美

株式会社リクルートホールディングス ソーシャルエンタープライズ推進室 室長

新卒で株式会社リクルートに入社。求人広告営業を経験後、現住宅情報事業部門に異動。マーケティング、営業企画、人事等を多くの職種を経験。2009年に全社事業開発室に異動。新事業・新組織立ち上げも含めた統括業務を経験。2011年よりコーポレート人事・CSRを担当。2013年4月より現部署にてリクルートグループのCSRとダイバーシティの推進を担当。

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