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女性の働き方の未来は組織OSのバージョンアップにあり 〜Career Cafe 28にみる女性活躍推進と多様な生き方を受容するために〜

Recruit , サステナビリティ , マネジメント , 人材活用 , 働き方 , 多様性

文:江口晋太朗

人口減少により働き手が減っていく中で、女性登用の重要性がますます叫ばれている。政府でも、内閣府男女共同参画局を設置し、「すべての女性が輝く社会」を目指し、「女性活躍加速のための重点方針2015」を決定するなど、推進に取り組んでいる。

しかし、依然として企業における女性幹部職員の比率の低さが取り沙汰され、結婚や出産を機に退職した後、復職に苦労するケースも多い。女性の活躍について言説こそ増えてはいても、企業内部での環境整備や、組織全体としての取り組み方に関する実際の事例や実践が少ないのも事実だ。

女性の活躍の場については、本人の問題だけでなく、上司や部下を含めた組織全体が理解を示し、取り組まなければならない。単に女性社員を社内の管理職に登用しようとするだけではなく、本人が自律的に行動し、自身のやりがいを実現できる環境としての"キャリアの場"を生み出すことが必要である。

リクルートでは、人生の転機が訪れやすい「28歳」という年齢の女性社員に対し、自らのキャリアの不安を取り除き、上司との相談を円滑にするために必要な場を提供する「Career Cafe 28」というプログラムを2011年から実践している。キャリアとプライベートとのバランスに悩む女性社員に対し、先輩社員との交流や個別面談を行うなど、多様な働き方を尊重するためのサポートを行っている。

今年は、さらなる女性の活躍を応援するために、チームを率いる中間管理職を対象にした「Career Cafe 28 BOSS」をスタート。上司らに女性の能力を引き出すコミュニケーション手法を獲得してもらい、マネジメントを通じて女性社員の成長をより加速させる狙いだ。こうしてマネジメントする側の意識に変化がもたらされることで、やがては組織全体が多様な働き方を認めることに繋がっていく。そのCareer Cafe 28 BOSSが、去る7月23日にはじめて開催された。その模様をお届けしたい。

Career Cafe 28 BOSSの様子

Career Cafe 28 BOSSの様子

多様性は「個人の問題」を超え、いまや「企業の成長」に必要不可欠

リクルートグループ全体から女性社員を部下に持つ部課長クラス100名以上が集まったCareer Cafe 28 BOSS。女性社員とのコミュニケーションについて考える講演やグループディスカッション、ワークショップなどが行われ、それらを通じて多様な働き方を実現するためのマネジメント方法について学ぶ場となった。

イベント開催時の挨拶でリクルートホールディングス執行役員の冨塚優は、「この人口減少の時代に、いかにして企業が成長していくかが問われています。そんな中で今、高齢者や女性が働く場所、活躍できる場をつくることが求められています」と語った。

女性の活躍の場をつくることは、ワークライフバランスを考えるだけでなく、積極的な人材登用や人材活用を通じた、企業の成長戦略の一環としても位置づけることができる。男女問わず、優秀な人材を組織の中で活かす環境を整備することで、企業の発展を担う人材をより増やすことができるからだ。

さらに、プログラムの一つである講演では、外部講師として招かれた株式会社プロノバ代表取締役の岡島悦子氏が、多角的な視点から女性活躍の必要性について語った。経営コンサルタントで、リーダー育成のプロとして知られる岡島氏は、女性幹部の登用や女性の活躍推進にも取り組むなど、経営的観点から多様な働き方の推進に力を注いでいる。

以下に、岡島氏のコメントを紹介する。

「ビジネスモデルの転換やテクノロジーの進化など、社会環境の変化が激しい現代においては、環境変化に適応するための多様性を活かした組織づくりが必要です。

多様な価値観や働き方を受け入れ、変化に対して柔軟に対応できる組織になるために必要なのは、管理統制型のマネジメントではなく、自律型のマネジメントです。多様な視点を持って意思決定を行うことで、社員自身に選択の機会を提供し自律的な成長を促すのです。成長機会の創出のために上長が行うべきは「指示」や「命令」を出すことではなく、積極的に現場や社員に権限を委譲するコーチング的な考えをベースとした役割を担うこと。旧来のマネジメントの考え方から脱し、今の時代に適した「組織OS」にバージョンアップすることが必要不可欠なのです。

上司の意識改革にあたっては、「女性のキャリアをいかに前倒ししてあげられるかを考えること」が、重要なポイントとして挙げられます。男性でも女性でも、ビジネスのプロとして求められる能力は同じですが、一つ違う点を挙げるとすると、女性は男性に比べ、フルパワーで働けない状況になり得るライフイベントが多いということ。ですから将来のライフイベントに備えるべく、できるだけ早めの成果を求める女性は少なくありません。若いうちから失敗を含めた多くの経験を積み、早い段階で組織内で必要とされるポジションになっておくことで、一旦休職しなければならないライフイベントが発生した時にも、働き方の自由を自分自身で選択できます。こういった男女の「時間差」の存在を、上司が理解することが必要になってくるのです。

チームを率いる上司は、こうした考えを持った女性もいるということを意識しなければいけませんし、もちろん女性社員本人も然りです。そんな中で上司には、社員に対して期待感を示し、若いうちから何にでも挑戦しやすい環境づくりを常日頃から構築することが求められます。意欲や覚悟を問うことは重要ですが、自己肯定感や自己効力感の乏しい若手や、仕事の種類を知らない若手には、潜在能力を見極め、機会に背中を押し、早めに勝ちグセをつけさせることも必要です。同時に、多様な働き方を求める女性社員の幹部登用を増やすためには、管理職登用のメリットや仕事内容、役割を明確にすることで、管理職という存在自体の不透明さを払拭し、やりがいを引き出す可視化を行わなければいけません。

ワーキングマザーのキャリア開発支援も同様です。上司が配慮しすぎてマミートラック的な仕事しか与えず、かえって成長の機会損失になってしまっているケースも見受けられます。例えば、産後無理なく働いてもらうためには、労働時間ではなく、時間あたりの生産性をもとにした仕事の環境をつくらなければいけません。そういった時間や空間の制約条件解決の環境整備は、ワーキングマザーのみならず、あらゆる人材にとって働きやすい環境を整えることにもつながります。

また、男女問わず社員の成長機会を創出するためには、社内人脈の重要性を示し、様々な人とのつながりをつくるためのサポートを行うことも重要です。さらに、論理的思考力や時間管理力、経営知識などのプロフェッショナルスキルを身につける必要性を説くなど、経営的観点を養うための支援の充実も必要です。

「長時間労働ではなく付加価値創出」という評価軸や、「仕事の価値観は共有しつつも働き方や視点は多様であっていい」という文化は、言うだけであれば簡単です。ですから言葉以上に大切なことは、多様な働き方を受容できる環境整備ができているかを、経営陣自らが真に考え、企業として本気で取り組むこと。その姿勢が、社員全体の働く環境の向上や、多様な価値観を受容する環境へとつながるのです」

個人の生き方を尊重したより良い未来のために。大きな変革に向けて

講演後は、女性社員や若手社員のマネジメントにおける自身の「悪いクセや、その悪いクセが出てしまったと思い当たるシーン」をグループ内で共有。岡島氏の話を踏まえて、それぞれが自らのマネジメント内容の改善点を見出す場となった。

多様性に適応したマネジメントは、たしかに大変だ。「そのような中でまずは、"女性社員個人の意識""上司の意識と理解""経営陣の覚悟と啓蒙活動"という<三位一体>の活動であることを理解し、繰り返しコミュニケーションを行うこと。そして特に女性に対してはライフイベントを見据えた「前倒しのキャリア」を構築してもらうため、早めの成長の機会を獲得させ、実践の場を積ませること。また、女性登用の推進など「管理職」というポジション自体にも多様性をもたらすためには、職務内容の可視化や登用のメリットを明確化し、マネジメントスキルの補強を支援することも必要だろう」と岡島氏は説明する。

労働環境のイノベーションは、組織全体で生み出さなければならないのだ。とはいえ、本来であれば、このイノベーションが難しいことであってはならない。最も重要なことは、シンプルに社員一人一人が働きたい環境を目指し、日々を楽しく充実した場とするための労働環境づくりをすることなのだから。

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