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シリーズアジアで働く 世界屈指のオンライン・マーケティング都市、バンコク。SNSが与えるビジネスと暮らしへの影響とは?

グローバル , テクノロジー , リクルート , 働き方

企画:榊原 宏一(Global Marketing TL) 文:塚田有那(写真は左から八源寺 誠、土肥 幸之助)

ユース層向けのコンテンツ市場が盛り上がりを見せる都市、バンコク。音楽やストリート発のファッションブランドなど、大きなムーブメントと市場を生み出すシーンの背景には、SNSで多数のフォロワーを持つインフルエンサーたちの存在があった。

いまバンコクで加速するオンライン・マーケティングから、多様化の進む働き方やライフスタイルの現状までを探るべく、バンコクのファッション界をリードする『Cheeze!』誌編集長のジラット・ポーンパニパン氏と、リクルート 海外人材紹介事業「リクルート・グローバル・ファミリー(RGF)」タイ&インドネシアディレクター 土肥、タイ拠点長八源寺に話を伺った。

副業は当たり前? SNSが個人のビジネスツールに

SNSは若者を中心にいまや世界中で絶大な影響力を持ち、マーケティングビジネスの中心にあることは誰しも疑わないだろう。SNS上で「バズ」を作ったものは、TVや雑誌などの既存のメディアを通り越して、流行や新たな消費を生み出していく。

一方、タイ・バンコクでは、そのSNSのパワーが個人レベルにも大きく寄与し、「SNSドリーム」と呼べる状況を生み出している。SNSで多大なフォロワーを持つ、世に言う「インフルエンサー」がより強い力を持つようになってきているのだ。ファッションシーンを中心に、4、5年前から起き始めたというこのインフルエンサー現象を見つめてきた『Cheeze!』誌編集長のジラット・ポーンパニパン氏は次のように語ってくれた。

『Cheeze!』誌編集長のジラット・ポーンパニパン氏

『Cheeze!』誌編集長のジラット・ポーンパニパン氏

「いま、インフルエンサーたちの発言は、大きな影響力を持っています。彼らの職業はクリエイター、スタイリスト、ブロガー、ネットアイドル、写真家からファッションピープルまでさまざま。いずれも1万フォロワー以上、最高で100万フォロワーを有している人々を指します。時には有名俳優やモデルなどの芸能人のフォロワー数をはるかに超える人も多くいますね。かつてはTVや雑誌の中にいたトレンドセッターが、一般人の中で生まれ始めているのが特徴です」

その影響は、ストリートのファッションシーンで特に顕著だ。若いファッションデザイナーが自身のブランド服をSNS上で発表し、次第に人気を博してインフルエンサーになると、店舗などを持たずネット上のECサイトのみで個人間のビジネスが成立するようになってきているのだ。

これはまた、副業が通例であるタイ人の働き方にも大きく関係している。RGF(リクルート海外人材紹介事業)タイ法人 拠点長の八源寺は、タイの人材紹介事業を通して、タイ市場における特徴的な就労感について、こう分析している。

「これは他の東南アジア諸国にも共通しますが、タイの人々にとって企業の正社員になることは、あくまで収入確保の一手段でしかありません。日本人の多くが仕事に求めるものが安定した雇用や長期的な経験だとすれば、タイ人は複数の企業を転々としながら、短期的に専門性の高いスキルを得て、評価に応じた報酬を得たいと考えるのが一般的です。その分、転職率も高いのが特徴ですね。日系企業におけるタイ人の雇用に関しては、離職率の高さや、キャリアに対する考え方など、日本での採用との違いを明確化して、人材戦略を組めるように、現地でサポートしています。

特に、タイの就労人口の50%以上が副業収入を得ていることに驚きました。* それぞれ自営業の意識が非常に高く、自分で作った服やチョコレートなどのお菓子をネット上で小売りしている様子をよく見かけます。その宣伝にSNSが有効なことは言うまでもありません。ただ、それもネットで一儲けしようというよりは、知人友人に作ったモノを売る、という気軽な範疇のものも多いようです。Facebook上で自身のプロダクトを販売している人も多く、ビジネスとプライベートの境界があまりない風潮を感じます」

文化は「フリマ型」へ。豊かさを重視するタイのライフスタイル

「自身でつくったブランドのメッセージを世の中に発信するには、SNSが最も便利で効果的なのは言うまでもありません。そして、バンコクの子たちはそうした新たな才能をネットからキャッチするのが早いんです。SNSへの1ポストが世界中に広がり、SNSによって夢を実現する人々が増えてきているんです」

そう語るジラット氏もまた、Instagramで33万人のフォロワーを持つファッション界のカリスマだ。彼は、自身が編集長を務めるファッション誌『Cheeze!』を基軸にYouTubeやTVのチャンネルも手がけるなどマルチメディア化を進めるほか、数年前から主宰しているフリーマーケットが若者に大きな影響力を持つようになっている。

バンコク フリーマーケット

フリーマーケットにはのべ3万人もの若者が集まる

タイの若者が自身のブランド服やプロダクトなどを販売する毎月開催のフリーマーケットは、その人気の高さから、毎月バイヤーや企業のプロデューサーが訪れ、新たな才能を発掘する場所にもなっている。人気を博したブランドが、後に大型の商業施設への出店オファーを受けることもざらにあるそうだ。また、バンコク郊外で開催される年1回の大型フリーマーケットは、2日間で延べ3万人以上もの動員を集めるイベントになっている。

「フリーマーケットが、タイの新たなカルチャービジネスの拠点になっていることは間違いありません。いまやこの場所がひとつのメディアになっているともいえます。従来の商業施設やショッピングモールとは違って、人々はマーケットの中で過ごす時間そのものを求めにきています。リラックスして、散歩をして、新たな人と出会える場所がフリーマーケットであり、そこで人々は自分の気に入ったチープでリーズナブルなモノを買って帰るのです」

そうジラット氏が語るように、タイの若者のあいだでは、物理的な価値だけではなく、精神的にも豊かな時間を求める傾向が顕著になっているという。それはまた、SNS上のコミュニティから生まれた横の連帯感も加味しているのだろう。では、現地で働く日本人にとって、タイはどんな土地に映っているのだろうか?

「見方は人それぞれですが、個人的には東京以上に住みやすいんじゃないかと思います」と語るRGFタイ&インドネシア ディレクターの土肥は、バンコクでの暮らしを振り返り、「日本人に最適化された街」だと言う。

バンコク

「在留日本人が6万人もいるこの街では、日本人向けのサービスも多く、食事ひとつとっても高級なレストランから親しみやすいローカルの屋台まで、選択肢の広さが嬉しいところ。暑い国ならではのゆるやかさもあり、精神的にも日々ストレスなく過ごすことができます。

仕事上のコミュニケーションにおいても、人間同士の信頼関係が重要視される部分が多く、ビジネスライクな付き合いはあまり好まれません。その分、仕事上でもエモーショナルなマネジメントが必要とされますが、それもまた多様な文化のひとつと思えば、そこまでネガティブに感じることはありません。

この国のビジネスにおいて日本人は市場価値が高く、エンジニアやIT系の技術職など専門性をもった職種やそれらの職能を束ねるマネージャー業務の需要は年々高まっています。特に20代を中心とした若手の人材はどんどんバンコクに集まってきていますから、この先も新たなビジネスシーンが生まれ、盛り上がりを見せていくことを期待しています」

兼ねてより、海外就職において人気だったタイは、オンライン・マーケティングの隆盛や、政府による高付加価値産業化の後押しもあり、より、サービス業・IT・メディアなどのソフト産業分野にも職種が拡大してきている。日本で培ったスキル・経験を活かし、同国の振興分野に挑戦する日本人が増えてきていることも、同国の転職魅力の一因である。

*(出典元:リクルートワークス研究所

プロフィール/敬称略

Jiradt Pornpanitphan(ジラット・ポーンパニパン)

Cheeze誌 Looker誌 CheezeSnack フリーコピー版創設者・編集主幹

Delicious・Katch両誌の編集者を皮切りに、ジラット・ポーンパニパンはこれまでずっとクリエイティブ分野で活躍している。ファッション誌とライフスタイル誌3誌の創設者兼編集主幹であるジラットは、現代のニューエイジ・ファッション雑誌界を牽引してきた。Cheeze誌は、2004年の発刊当時、ストリート・ファッションをテーマとするタイで唯一の雑誌であった。その後、2010年にはLooker誌を、2013年にはCheezeSnackフリーコピー版を成功させている。出版分野で活動する傍ら、Veryチャンネル放送中のTV番組「CheezeTV D.I.Y」の制作総指揮を務め、Say Cheeze出版社長として、自著「Manud」をこれまでに7巻刊行している。人と異なる、ユニークな視点を持つ著作者として知られ、幾多のイベントのゲスト講演者になるとともに、様々な大学でも客員講師として、ファッションやスタイル、雑誌の作り方について講義してきた経歴を有している。


土肥 幸之助(どい・こうのすけ)

RGF HR Agent Thailand & RGF HR Agent Indonesia Director

1984年生まれ。2008年、リクルート(当時)に入社。転職・キャリア採用領域にて、主に新事業の営業企画・営業推進・渉外活動に従事。社内公募を経て、リクルートの海外人材紹介事業RGFに参画。インドネシアでの人材紹介事業立ち上げの為、2013年4月よりジャカルタに駐在。2016年7月からは、タイ・インドネシアの両国にて事業を管轄。バンコクとジャカルタを往復する生活を送っている。

八源寺 誠(やげんじ・まこと)

RGF HR Agent Thailand 拠点長

1980年生まれ。 ゼネコンで経理職、自動車部品メーカーでの営業職を経て、 2014年よりリクルート海外人材斡旋事業であるRGFに参画。 上海拠点での勤務を経て、現在はRGFタイにて拠点長を務める。 2014年に営業開始した同拠点の立上げ業務に従事。主に日系企業を中心に採用支援を行う。 日系企業が多く進出するこの市場で事業拡大に挑む。

 

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