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SPECIAL INTERVIEW

【後編】人と社会を幸せにする"いい会社"って何だろう 鎌倉投信鎌田恭幸×リクルート伊藤綾

Recruit , サステナビリティ , 多様性 , 投資 , 社会貢献
SPECIAL INTERVIEW

文:村田くみ 写真:斉藤有美

鎌倉投信代表取締役社長の鎌田恭幸氏とリクルートの伊藤綾が語る、人や地域を幸せにする"いい会社"とは?

仕事を通じて関わるすべての人や地域を幸せにするのが"いい会社"という。そこで、「人を幸せにしたい」「自分にできる役割を実現したい」という想いを解決するためにはどんな心がまえが必要なのか。鎌倉投信の代表取締役 鎌田恭幸さんとリクルートホールディングス サステナビリティ推進室 室長の伊藤綾が、達成感を得て次のステップを踏むための働き方、考え方について語った。

ー 実際に社会に出て働いてみると、他者を「幸せにしたい」と思いながら働くのは意外とハードルが高く、いつも時間に追われてそこまで余裕がないような気がします。

伊藤綾(以下・伊藤) そうですね。例えば多くの仕事には数値目標があったりします。私の編集長時代もどれだけ多くのカップルにゼクシィを使っていただけるか、満足して頂けるか、日々努力していましたが、プレッシャーもありました。

鎌田恭幸

鎌倉投信株式会社 代表取締役社長 鎌田 恭幸さん

鎌田恭幸(以下・鎌田) 目先の結果を常に求められるのが、今の日本の多くの会社の状況だと思います。そのような環境の中でまわりの人を幸せにしようと思ったら、まず、自分が変わるしかない。そこから色々な可能性が拓けてくると思います。5年ほど前に法政大学の坂本光司先生(同大大学院政策創造研究科教授、『日本でいちばん大切にしたい会社』著者)との共同研究で"いい会社"の調査分析をしたことがありました。リーマン・ショック後、東日本大震災前後の厳しい経済環境の中でも長期にわたって利益が出ている会社にアンケート調査したんです。

アンケート結果をふまえて実際に何社か訪問してわかったことは、好不況にかかわらず安定した利益が出ている会社が持っている共通の要素が3つあり、1つは経営理念を共有・理解していること。「自分たちの会社は何のために存在するのか」、といった意味を社員が共有している。そこには、数値目標達成のためだけに働いている人はいません。2つ目が人財教育で、人を育てるために予算は削らない。

伊藤 経営理念に照らし合わせた人財育成をしっかりとされているんですね。

鎌田 例えば、投資先ではないですが、長野県で伊那食品工業という寒天食品を製造販売する会社があります。その会社には独自に作成した「100年カレンダー」があり、新入社員の研修で同社の塚越寛会長がカレンダーを使ってこう話します。「あなたの命日は必ずどこかにありますーー」。20代前半の若い人たちは一瞬ドキッとすると思いますが、人はいつか死にます。自分が亡くなる命日を考えることで、残りの日々が出てきます。そうすると一度きりしかない人生をどう生きるのか考えるきっかけになります。

そして、3つ目は関係性です。社員同士、部署同士、会社と社員や、地域との関係性、縦横無尽につなぐ仕組みを持っている。最近、企業の間で社員旅行や運動会が復活しているのは必然で、何かいいアウトプットを出そうと思ったら、垣根を越えた関係性がないと、いい発想、協力、共創は生まれてきません。

伊藤 会社員時代の鎌田さんのように、「自分は社会に貢献する働き方ができていない」ともし私たちが感じたとしたら、明日から実践するには何から始めたらいいのでしょうか?

鎌田 難しいことかもしれませんが、自分の経験からいいますと、実践している人に学んだり、触れたりすることかもしれません。それは、社内でも社外でもいいと思います。自分が求めているものや自分にないものを内在している人に学ぶことが一番です。

鎌倉投信さま

ー 縦割りの組織だと難しいですね。ほかの部署の人と勤務中にやりとりをしていると、たいてい直属の上司に「何をしている」と言われてしまいます。

鎌田 その点、リクルートさんは風通しがいい会社なのでは?

伊藤 「ありたい姿」を思い続けながら働くことはとても大事だと思っています。私たちの会社の経営理念には「一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す」というミッションがあり、実際に私もメンバーと「一人ひとりが輝くってどんなことだろう?」と、話し合うこともあります。20年後、30年後も輝くって何だろうと。

鎌田 一人ひとりが輝くということは、自分の「使命を知る」ことだと思います。人は必ず役割を持って生まれていますから。今世での自分の役割は何だろう、今自分がこの会社で果たす役割は何だろうと、無意識のレベルでも役割を見つけられている人は、間違いなく輝いています。それは仕事の内容や、職場内での立ち位置、肩書きなどの立場ではなく、今の置かれている立場で役割をわかっている人は何をやっていても、いきいきとしています。

伊藤 それは自分で決めていいんですよね。自分で決めることが大切な気がします。

鎌田 いいんです。自分にしか決められません。まだ役割を探せていない人は、「自分は何のために生まれてきたのか」「何のために仕事をしているのか」と自問自答をしている場合が多い。先ほど言ったように人が生きる時間は限られているので、悩むことにたくさんの時間を費やすのはもったいない。

「仕事を通じて何を目指し、何を為したいのか」。結果はでなくてもせめてそれを常に求めていないと、人生の目的やそのために必要な縁をたぐり寄せることはできないですね。「これでいいのかな」と悩みながらも一筋の光が見えてくる時がきます。僕は20年かかりましたが、「金融で人や地域を幸せにできる」と、20年経ってやっと実感できました。それは、前の会社組織での悩みがあったからこそ、今があると思います。

伊藤 会社員として20年間働かれた中で喜びも悲しみもあったと思うんですが、その中で現在につながっていることについて聞かせてください。

鎌田 例えば、人を幸せにするための金融商品をつくりたいと思ってもその知識がなかったり、人脈や経済的な問題があったりします。それらがないとこういう事業は立ち上げられないので。偶然なのかもしれませんが、前の会社を辞めたのが2008年1月なんです。外資系信託銀行の副社長という立場で待遇も恵まれていました。

辞めた時、「もったいない」と周囲からは言われましたが、その年の9月にリーマン・ショックが起きました。リーマン・ショックの後だったら、僕は立場的に会社を辞めることができなかっただろうし、辞めたとしても退職金も出なかったでしょう。辞めたのがリーマン・ショック前だったから退職金が出て、それが資本金の一部になって鎌倉投信を設立できた。ここの時間軸が少しでもずれるとまったく違ってくる。鎌倉投信もなかったかもしれませんし。

伊藤 何かの役割の"何か"は自分で決めていい。それが救いですね。一定の人だけが役割を持っているのではなく、自分で決めていいと。

伊藤 綾

株式会社リクルートホールディングス サステナビリティ推進室 室長 伊藤 綾

ー 働いてお金をもらっていても満ち足りた気分になれないのは"何か"を探しているからなんですね。ちょうど20代、30代はそんな悩みを抱えている人が多いと思います。

鎌田 そういう人に助言するとしたら、今やっている仕事、与えられた環境の中で120%の力で全力を尽くす、ということ。その中で達成感を得られた仕事が3つぐらい重なると、自然と次のステップにいけます。自分の道を拓くのは自分自身なのですが、機が熟したときは必ず誰か支援者が後押ししてくれるんです。誰か自分を引っ張り上げてくれる、導いてくれるような人が現れるんです。

目の前のことに全力を尽くせない人は、そうした縁をたぐりよせることができない。今の自分に「これ」というものがなければ、今この瞬間を全力で生きる。

僕は縁をたぐりよせるのに20年かかりましたが、10代、20代でできている人もいます。どちらがいいとは言えませんが、人それぞれいろんな道があります。

ー 回り道をしたからこそ見えてくるものもあるんですね。

伊藤 結果を出そうとして焦ってしまうこともあるので、勇気づけられます。まず自分はどうありたいのか。それを考え今に向き合う。

鎌田 法政の坂本先生との研究で結論づけたことがあります。例えば一人の社員が会社や取引先のためにがんばった結果、お客様が「この会社いいよね」といって口コミで広がることがあります。それを「資本化した共感力」と定義づけました。金銭的な契約はなくてもお客様が無償で応援してくれる。それはすでに資本化していると思ったんです。ヒト、モノ、カネ、情報、という近代経営の基本的な要素だけではなくて、そこからさらに、資本としての人を本気にさせる力がその会社にあるかどうかが問われてきます。

ー 日本にはそういう会社が潜在的にまだたくさんあると考えると未来は明るいですね。

鎌田 発想力豊かで、社会的に意義のある仕事をしたいと思っている若い人は実は意外に多いので、日本の未来はそんなに悪くないと思っています。

伊藤 「結い2101」に投資している方たちは、そうした考えをお持ちの若い人が多いのですか。

鎌田 現在、1万7000人ほどのお客様がいます。年齢層でいうと30代から50代の現役世代が70%。この意識が高い自立している人たちが、投資を通じて社会変革をしている人と触れ合う中で影響を受けています。その人たちが自分の会社や組織の中で何かを発信しはじめると、その人を起点にして何かが起こるかもしれませんね。

伊藤 まさに「共感力」ですね。現役世代は会社や組織にコミュニティがあり、ある程度実行力がある。相乗効果が生まれるとそれは貴重な財産になります。

鎌田 鎌倉投信はお客様から「こんなにいい会社がある」といって"いい会社"を紹介していただくことがあります。お客様が、鎌倉投信の経営理念や投資方針に共感してのことです。この先、お客様が2万人、3万人とふえてもその「共感力」を積み上げていけば、鎌倉投信自身は小さな存在でも、いい会社とお客様の輪が自然と拡がっていい社会づくりに通じる。創業から8年経ってそう確信しました。

伊藤 職業や年齢、立場が違う人が"いい会社"を軸につながる。ダイバーシティに通じる考えです。すべての人に一人ひとりの「個」と幸せがあり、役割があり、それを受け入れ合うのがダイバーシティの本質だと思っています。

鎌田 深い話ですね。ダイバーシティは「女性幹部を何人登用する」とか、目に見える成果ばかりが取り上げられがちですが、重要なのは男性も女性も関係なく、一人の人格として公平に見られるかどうか。それができている会社は成長します。

伊藤 一人ひとりに役割があること。今見つけられなくても120%の力を出し切れば、その先にきっとそれが見つかる。心に留めたい言葉です。

鎌倉投信さま

人と社会を幸せにする"いい会社"って何だろう鎌倉投信鎌田恭幸×リクルート伊藤綾

  1. 前編
  2. 後編

プロフィール/敬称略

鎌田 恭幸(かまた・やすゆき)

鎌倉投信株式会社 代表取締役社長 

25年以上にわたり、日系・外資系信託銀行の資産運用業務に携わる。株式等の運用、運用商品の企画、年金等の機関投資家営業等を経て、外資系信託銀行の代表取締役副社長に就任。その後、2008年11月 鎌倉投信株式会社を仲間と創業。鎌倉の古民家を拠点とし、社会を真に豊かにするために100年後も活躍できる企業を支援している

伊藤 綾(いとう・あや)

株式会社リクルートホールディングス サステナビリティ推進室 室長

出版社勤務、専業主婦を経て、2000年に株式会社リクルート入社。ゼクシィ事業部に配属。2006年に首都圏版編集長。出産を経て、2010年首都圏版編集長、2011年統括編集長。 "定時に帰る編集長"を目指し双子の育児との両立にトライする。「プロポーズされたら、ゼクシィ」をコアメッセージとしたブランドコミュニケーション、「花嫁1000人委員会」「妄想用婚姻届」「付録『すぎるシリーズ』」などをチーム開発。2015年リクルートホールディングス ダイバーシティ推進部部長、2016年ソーシャルエンタープライズ推進室室長、2017年より現職。リクルートグループのダイバーシティ及びサステナビリティセクションを担当。

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